写真提供:公益社団法人 鹿児島県観光連盟

近年、新たな旅行の形として注目を集めるウェルネスツーリズム。人々の健康志向の高まりとともに、自然の中でのアクティビティや地産地消の安全な食事など、心身のリフレッシュや健康を目的にする旅行が増えてきています。豊かな自然や安全な食、温泉をはじめとした観光資源に恵まれた鹿児島は、そんなウェルネス旅にぴったりです。

今回は大阪から志布志(しぶし)行きのフェリー「さんふらわあ」に乗って鹿児島へ。さんふらわあの乗船体験と鹿児島のウェルネスなスポットを紹介していきます。

大阪南港からいざ乗船!

乗船手続きを終えて乗り場へ向かうと、目に飛び込んできたのは想像以上に大きな船。船体に描かれた、さんふらわあのシンボルである太陽のマークが印象的です。

船内ではプロジェクションマッピングが出迎えてくれました。3フロア吹き抜けの天井に映し出されるのは、桜島や西郷隆盛、ロケットなど、鹿児島にゆかりのあるもの。「あそこ行こうと思っていたとこだ!」なんて、これからの旅に期待が高まります。

きれいな設備はまさに「動くホテル」

今回宿泊したのはデラックスという等級の部屋。ふかふかのベッドにシャワー室、温水洗浄便座つきトイレまで備えており、一瞬ホテルに来たのかと錯覚してしまうほどでした。

部屋内のアメニティが充実しているのも嬉しいポイントです。タオルや歯ブラシはもちろん、ドライヤーも完備。さらに「FIEL NATURALEZA」のオーガニックヘアケア・ボディケアセットまでついています。

また、女性にうれしいサービスとして「スーペリア」という等級のお部屋に宿泊された方には、美顔器・三面鏡・マイナスイオンドライヤーの用意もあり、女子力アップにもってこいです。こちらはレディースルーム限定ですので予約時に問い合わせをすることをおすすめします。

部屋だけでなく公共のスペースもおしゃれで、高級感あふれる落ち着いた雰囲気です。壁にも床にも華やかなデザインが施され、モダンな空間の中に和のテイストも散りばめられています。

キッズルームやベビールームがあるのも嬉しいところ。赤ちゃんやお子さんと一緒のママも安心して船旅を楽しむことができます。

売店では日用品や軽食に加え、さんふらわあオリジナルグッズや、大阪と鹿児島のおみやげを販売しています。人気商品は船内のレストランでも提供しているカレーなのだとか。また、期間限定でしたが、大隅半島の選りすぐりの品を集めたおみやげセットも売られていました。

船内の楽しみは食事とお風呂

船内の食事は夕食・朝食ともにレストランでのビュッフェ形式。和・洋・中さまざまなメニューが用意されており、鹿児島ならではの新鮮な食材を使った料理も味わうことができます。時期によってメニューは変わってくるそうですが、全体的にヘルシーなのはうれしいポイントです。

フルーツやアイスクリームなど、デザートメニューも充実しています。特にカップケーキはカラフルでかわいいので、つい並べて写真を撮ってしまいました。もちろんアルコールも用意されています。せっかくの船旅、さんふらわあオリジナルワインで乾杯というのも乙なものです。また、鹿児島を訪れる前にぜひ船上でも味わっていただきたいのが、薩摩焼酎(本格芋焼酎)。糖質ゼロ、近年は若返りの成分も発見された、豊かな香りで楽しむヘルシーなお酒です。

船内には湯船に浸かって疲れをとれる大浴場があります。広々としたスペースにシャワーが10台以上。仕切りがついているので隣の人を気にすることなく使えます。女性用大浴場にはパウダールームも完備。シャンプーやボディーソープは浴場に備え付けがありますが、化粧水などは持参しましょう。

大浴場のおすすめは朝。水平線から太陽が昇ってくるのを眺めながら入るお風呂は格別です。美しい朝日に照らされてきらきら輝く海を見ていると、これから始まる一日が素敵になるような気がしてきます。

今回初めてさんふらわあに乗って驚いたのは、船内がとてもきれいでおしゃれだったこと。アメニティが充実していて、写真映えするスポットもあり、女子旅にはもってこいです。これまで自分自身が抱いていた、「フェリー旅」のイメージとは全く異なる華やかな世界が広がっていました。それもそのはず、この船は2018年秋に就航したばかりの新しい船。まさに「動くホテル」と呼ぶにふさわしい快適な船でした。
ここからは鹿児島で体験できるウェルネスな旅を紹介していきます。

フェリーを降りたら、まずは大隅半島の魅力を堪能しよう

志布志港から車で約20分。和香園でお茶の焙煎体験と創作茶膳料理を味わう

お茶の生産量全国2位を誇る鹿児島。そんな中で平成元年からお茶の生産・販売を行っているのが鹿児島県志布志市にある「和香園」です。志布志港からは車で20分ほど。土づくりからこだわり、農薬の使用を極力控えて安心・安全なお茶の生産に取り組んでいます。

ここでできるのがお茶の焙煎体験。お茶のプロにアドバイスを受けながら茎茶を焙じていくと、だんだんと香ばしい香りが。まんべんなく火を入れながら、焦げつく直前で火を止めたら完成です。自分でつくったほうじ茶を淹れて飲むことができます。焙煎したてのほうじ茶は香り高く、とても味わい深かったです。このほか、今後は茶摘みなど様々な体験を企画されているそうですので、お楽しみに。

直売所では定番の深蒸し茶や紅茶、大隅産のショウガがぴりりと効いたウーロンブラックティーなど、オリジナルのお茶が豊富に揃っています。

焙煎体験のあとは、併設しているレストラン「茶音の蔵」でランチを。お茶を「飲む」だけでなく「食べる」という文化も提案したいという思いから、安全なお茶と大隅半島の食材にこだわった創作茶膳料理を提供しています。四季折々の新鮮な素材を使った、見た目にも麗しい和のお料理の数々は、滋味深く、心身ともに癒やされます。お味のおいしさはもちろんのこと、「こんな料理にもお茶が!」という驚きもあり、改めてお茶の世界の楽しさを感じたひとときでした。

和香園
鹿児島県志布志市有明町原田1203-7
https://www.wakohen.co.jp/
099-475-1023
8:00~18:00

「たからべ森の学校」発! 特製お弁当を携えて森と温泉でリトリート

志布志港から車で約1時間、曽於(そお)市にある「たからべ森の学校」は廃校をリノベーションした施設。国の職業訓練施設として運営するかたわら、学校農園で採れた野菜やジビエ料理を楽しめる「たか森カフェ」と、学校体験型宿泊施設「星の宿」を運営しています。

ここで体験できるのは五感を鍛える森林散歩。たか森カフェ謹製のお弁当を持って、近くにある悠久の森へ出かけましょう。

「全国遊歩百選」にも選ばれている悠久の森は、清らかな小川や滝が流れ、森林浴にぴったりの場所です。歩く際には「見る、耳を澄ます、触れる、味わう、香る」の五感を意識してみてください。いつもは気にも留めていなかった鳥の鳴き声や植物の匂いに気が付くはずです。

散策後は、お弁当とセットになっている温泉チケットを使って、美人の湯といわれる地元で人気の温泉「たからべ温泉」につかり、お肌すべすべになって帰りましょう。

たからべ森の学校
https://t-morinogakkou.jp/
鹿児島県曽於市財部町北俣5410-1
0986-28-6120

さらに足を延ばして、対岸の南薩エリアまで行ってみよう!

百年続く清木場果樹園できんかんの収穫体験 ※冬季限定

志布志港からは車で約2時間半、南さつま市にある「清木場果樹園」では、12月~3月にかけてきんかんの収穫体験ができます。乳酸菌などを利用した堆肥を使い丁寧に栽培されたきんかんは、ビタミンCが豊富で、果物としては珍しくカルシウムも含まれています。たわわに実った大粒のきんかんを収穫し、その場で食べられるのがここでの楽しみ。樹上で完熟したきんかんは驚くほど甘く、時間を忘れて収穫に夢中になりました。

清木場果樹園ではジャムやコンポートなどの加工品も生産しています。ジャムづくりに使うのはきんかんの他に、鹿児島県産のきび糖とサツマイモでつくられる発酵液だけ。余計な添加物は入れず、シンプルな素材だけで地産の味わいを大切にしています。

清木場果樹園
https://seikoba.jp/
鹿児島県南さつま市加世田津貫10660
0993-55-3260
10:00~16:00(土日祝休業)

マルス津貫蒸溜所でウイスキーづくりを見学

ウイスキー蒸溜所としては本土最南端にある「マルス津貫蒸溜所」。前出の清木場果樹園からは徒歩3分ほどの場所にあります。温暖な気候と良質な水資源に恵まれるこの地は、ウイスキーづくりには最適なのだそう。ここではウイスキーの生産工程を見学しながら、ウイスキーづくりを学ぶことができます。蒸溜棟の大きさもさることながら、貯蔵庫に樽が並ぶ様子も圧巻でした。

蒸溜所見学後は隣接する寶常(ほうじょう)へ。寶常は旧邸宅を改築したカフェ&バースペース。和と洋を融合したおしゃれな空間は写真映えも抜群です。日本庭園を眺めながらウイスキーの試飲やコーヒーを楽しむことができます。

宝石箱のようにキラキラと輝くお重箱のランチは、3日前までの予約が必要なので、お日にちに余裕を持って問い合わせをされることをお勧めします。

マルス津貫蒸溜所
https://www.hombo.co.jp/company/kura/mars-tsunuki.html
鹿児島県南さつま市加世田津貫6594
0993-55-2001
9:00~16:00

砂むしだけじゃない!指宿の温泉めぐり

市内の至るところから温泉が湧き出る指宿(いぶすき)。志布志港からは車で2時間半ほどの場所です。指宿と言えば砂場の上に仰向けになり、上から砂をかけられる砂むし温泉が有名ですが、他にも知られざる名泉がいくつもあります。「殿様湯(とのさまゆ)」は江戸時代にこの地を治めていた島津家のお殿様しか入浴を許されなかった温泉。泉質はナトリウム塩化物泉で飲むこともでき、貧血や便秘に効果があるそう。

「こらんの湯 錦江楼」は温泉に浸かりながら錦江湾(きんこうわん)と桜島を眺めることができる絶景温泉。桜島を見ながら入れる温泉は、指宿ではここだけなのだとか。保湿成分のメタケイ酸が美肌の湯と言われる基準の6倍以上含まれ、お湯から上がったらお肌がツルツルに。

温泉でデトックスしたあとは、指宿の名産品であるオクラを使ったスムージーで身体をリフレッシュ。便通改善や美肌効果も期待できるそうです。指宿駅前にある「指宿観光&体験の会」で味わうことができます。

指宿観光&体験の会
https://www.ibusukikankoutaiken.com/
鹿児島県指宿市湊1-3-2吉永ビル2階
0993-23-8800

殿様湯
鹿児島県指宿市西方1408-27
0993-22-2827
7:00~21:00(金曜定休)

こらんの湯 錦江楼
https://www.kinkouroh.co.jp/
鹿児島県指宿市西方4507
0993-22-3377

女子旅に嬉しいものがたくさん揃ったフェリーさんふらわあで鹿児島を訪れ、身体にも心や脳にも良いことをしてみる。いつもとは違う旅で自分磨きなんて素敵だと思いませんか?

ウェルネスツーリズムは今後ますますの注目が予想されます。日頃の疲れを癒しながら心身をいたわり、自分自身を良好な状態へと導いていく旅。温暖な気候と豊かな自然、安全な食に恵まれた鹿児島なら、きっとそれが叶うはず。ウェルネスな鹿児島への旅は、あなたの日々の暮らしをより豊かに良いものにしてくれるでしょう。